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詩人武田こうじが歩く、文学の街・仙台。

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現代作家篇

 現代作家篇には主に小説の舞台として、仙台の街が登場します。 それは所謂観光地として、有名なところというよりは、暮らしていくうえで(あるいは滞在していくうえで) 気がつく身近な所の大切さ、素晴らしさという印象を受けます。 それゆえ、みなさまには馴染みのない所かもしれませんが、作品から伝わってくる“街の空気”を感じてもらえたらと思います。 その作家の視点で、または作品の中の登場人物になって、街を歩いてみてはいかがでしょう。

■輪王寺

小池真理子さんの『無伴奏』の主人公の恋人、友人は北山・輪王寺近くに下宿しているという設定です。 ここは僕が生まれ育った所から近いということもあって、何回か足を運んだことがあります。 季節によっては、鮮やかに咲く紫陽花が見れます。とても趣が深いところです。

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■野草園

ここもまた、小さい頃から家族でよく訪れた所です。なので、佐伯一麦さんの『鉄塔家族』に登場した時は、少なからず驚きました。 子供の頃の印象と違う感じに思えたり、家族をテーマにした作品なので、自分の家族と重ねて、今の自分を考えてみたり...。 野草園は、季節の移り変わりを肌で感じることができる、優しい風の吹く所です。

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 小池さんの作品と、佐伯さんの作品を挙げましたが(どちらもとても好きな作品なのです)、小池さんの作品が20年振りに仙台を訪れ、自分を振り返っていく内容で、佐伯さんの方は今、仙台に暮らし、自分や家族のことなどを考えていくというものなので、一緒に語ることはルール違反だと思うのですが、仙台で言葉と格闘しながら生きている自分としては、2つの作品共、とても心に響いてくるものがあります。
 それぞれの登場人物たちに自分を重ねてみたり、自分の周りの人たちを重ねてみたりしては、作品の中を行ったり来たりして、いろんなことを考えさせられます。
 テレビや映画のシーンなどで、自分の知っている所が映るのとは違う、ページの中で出会う街並。 それは不思議な感じで、とても魅力的です。

 そして、やはり伊坂幸太郎さんについても書かせてください。
 彼の作品と仙台という街は、切っても切れない関係です。 
 ですが、これといった地名が出てくるわけでもありません。なのに、彼の作品からは、強く仙台の街を感じます。 彼は街をよく歩き、感じ...街と会話する作家だと、僕は思っています。
 なので、微妙に変化していく、街の空気を繊細に的確に、表現することに成功しているのでしょう。 
 ストーリー展開や登場人物の描写の秀逸さだけでなく、街を表現することにも優れている伊坂ワールド。
 ぜひ、街を彼の作品のように、歩いてみてください。
 その他の作家たちの作品にも触れたい!のですが...それは、またの機会に。

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