太白区向山にある愛宕神社(あたごじんじゃ)は、伊達氏と共に米沢から岩出山を経て仙台に移ってきた唯一の神社です。初めは元寺小路(もとてらこうじ)に仮遷座しましたが、寛永末には現在地に移ったと考えられています。また「辰巳歳生守護(たつみとしせいしゅご)、火防鎮護(かぼうちんご)」の神社として人々から崇敬されている神社です。
本殿は一間社流造(いっけんしゃながれづくり)、銅板葺(どうばんぶき)で、かつては木羽葺(こばぶき)でした。拝殿は5間×3間の入母屋造(いりもやづくり)・銅板葺で、1間の向拝(こうはい)が付いています。建築年代は技法などからみて、江戸時代初期頃と見られています。また、慶長8(1603)年、慶安3(1650)年、元禄7(1694)年の3枚の棟札(むなふだ)が残されています。これら社殿と棟札(附指定)は仙台市有形文化財に指定されています。また神社に奉納された絵馬2枚「源頼政鵺(ぬえ)退治図絵馬」「牛若丸剣道修行図絵馬」も仙台市指定有形民俗文化財になっています。
社殿の東側に建つ神門(しんもん)には、右に大天狗、左に烏天狗(からすてんぐ)の木像が安置されています。三間一戸の八脚門で、切妻造(きりづまづくり)・銅板葺屋根の建物です。宮城県沖地震や東日本大震災により被害があった屋根を銅板葺に替えましたが、元々は杮葺(こけらぶき)と考えられているものです。文化元(1804)年の棟札があり江戸時代後期の建築と見られている建築物で、仙台市登録有形文化財になっています。