特集
Feature日常を離れて特別な時間を楽しむ旅は、ゆったり気分で過ごしたいものです。そこで今回は、自然豊かな癒しの杜の都「仙台」と、いつ訪れても四季折々の美しい景観が堪能できる「松島」の小旅行をご紹介します。この両エリアは、道路や施設に段差が少なかったり、エレベーターが備えてある箇所が多数。車いすユーザーやシニアも、ストレスの少ない旅が楽しめそうです。今回は1泊2日のモデルコースをご紹介します。自然と文化が交差するこのルートで、宮城の豊かな魅力を存分に感じてください。
※このページは、特定非営利活動法人仙台バリアフリーツアーセンターの代表理事を務める岩城一美さんにアドバイスをいただいて作成しました。
新しい場所に向かう前は、知りたい情報がたくさんあってワクワクしながら準備をします。その地に足を運んだ瞬間を思い浮かべ、家で見ていた風景を現実にして楽しんできました。
この情報が安心して楽しめる旅のお手伝いができる《しおり》として県内外の皆様にも見ていただき、そして訪れて楽しんでいただけるページになっていると思います。
特定非営利活動法人仙台バリアフリーツアーセンター
・観光庁 バリアフリー旅行相談窓口 掲載
・日本バリアフリー観光推進機構 会員
東北地方の交通の要所、JR仙台駅。新幹線、在来線、そして地下鉄が交差するこの駅は、観光やビジネスで訪れる多くの人々にとって欠かせない拠点となっています。仙台とその周辺地域の魅力を満喫するには、ここからスタートするのが最適!今回は仙石線を利用して、松島海岸駅まで向かいます。車いすでの列車への乗降など、駅員さんのサポートが必要な場合にはJR仙台駅3階みどりの窓口の隣にある「車いす窓口」が受け付けてくれます。中に入ると、カウンターの高さが低めになっており、車いすユーザーもスムーズに会話ができます。きっぷの申し込みや購入もでき、乗り継ぎに関する情報などが入手できます。
日本三景の1つに数えられる松島観光の出発点、松島海岸駅。和風にデザインされた駅舎は温かみのある雰囲気が特徴で、松島観光の基点となる駅として、観光シーズンには多くの来訪者で賑わいます。2022年2月に改修工事が完了し、現在は1番線、2番線の各ホームにエレベーターが設置され、インバウンドの方々をはじめ、荷物が多い遠方からの旅行者も利用しやすい駅になりました。また、車いすが通行できる幅の広い改札口をはじめ、1階にはベビーベッドなどを備えた多機能トイレも設置されています。
2020年4月に就航した松島湾一周遊覧船「仁王丸」に乗り込み、松島湾内の美しい島々を巡る旅に出発!船上からは、四季折々の自然の移ろいや、松島ならではの名所が眺められ、ゆったりとした時間を過ごすことができます。乗船時間は約50分で、松島湾内に点在する大小260余りの島々を間近で楽しめるのが特徴です。フラットなスロープが用意されており、多目的トイレも設置されていることから、多くの人が快適に船の旅を楽しむことができます。またWi-Fiや電源コンセントも装備。さらに音声アナウンスを文字で表示し、翻訳もしてくれるスマホアプリ「おもてなしガイド」にも対応しています。
「瑞巌寺」は松島を代表する歴史的名刹で、正式名称を「松島青龍山瑞巌円福禅寺」といいます。現在は臨済宗妙心寺派に属する禅宗寺院です。美しく整備された参道は、神聖な雰囲気に包まれて、壮麗な本堂や美しい庭園、国宝に指定された建築物が魅力です。特に、欄間の精緻な彫刻や、四季折々に彩られる境内は見どころが満載。静かな空気の中、歴史と自然が調和した空間で、心落ち着くひとときを過ごせます。また、多くの重要文化財を擁し、国宝にも指定されているので、1人でも多くの方々に訪れていただきたいという思いから、バリアフリー化も丁寧に進めています。小さな子どもからシニア、車いすユーザーも通行しやすいようにと、参道などの砂利を撤去したのもその一環です。また「宝物館」にはエレベーター、車いす用トイレが設置されています。
松島海岸駅から続く大通りは、歩道と車道の拡幅工事が行われ、歩道はフラットなデザインに変わり、歩きやすくなりました。このようなバリアフリー化は、松島町が中心となって進められましたが、まち主導でこのような改修を行うことは、全国的にも珍しいそうです。
(取材のご協力:松島町産業観光課観光班)
「瑞巌寺」の参道に面したお休み処「洗心庵」。観光の合間に心と体を癒せる空間です。歴史ある建物の中で、旬の素材を活かした郷土の味や、ずんだ餅、くずきりといった甘味も楽しむことができ、四季折々の美しい庭園を眺めながら、松島の風情を感じられるのが魅力です。店の入り口や店内は、段差のないつくりになっています。宮城の味だけでなく、民芸品なども揃っているので、食事やお茶と一緒に、お土産選びも楽しめます。補助犬の入店も可能です。
松島を堪能したあとは、仙石線で仙台に戻ります。
JR仙台駅3階にある「牛たん通り」は、仙台名物の牛たん専門店が集まるグルメスポット。そこで、夕食は、この「牛たん通り」の一角にある「味の牛たん喜助」へ。牛たん炭火焼きをはじめ、多彩なメニューが楽しめるとあって、店内はいつもにぎわっています。昔ながらの製法を守り、外はサクッと軽い口当たりに仕上げた牛たんは、ジューシーな味わいが特徴です。また、店内の通路は車いすの通行も可能な広さが保たれており、ベビーカーも入店することができます。また、旅行者の大きめな荷物を置くことができるよう、ちょっとした工夫も施されており、お料理のおいしさも、歓迎の気持ちも十分に感じられる空間になっています。
混雑状況によるため、事前にご連絡をお願いいたします。
ひろびろトイレはJR仙台駅構内にございます。
南町通に面して立つ「コンフォートホテル仙台西口」は、観光施設における心のバリアフリー認定を受けている宿泊施設です。この心のバリアフリー認定制度は、バリアフリー対応などに積極的に取り組む観光施設を対象としたもので、2020年12月に観光庁によって創設されました。 この「コンフォートホテル仙台西口」には、車いすユーザーも安心して宿泊できるユニバーサルルームが備えられています。また、旅行をするときに「あったらいいな」と思うようなうれしいサービスがいっぱいのホテルです。
客室によるため、事前にお問い合わせください。
「るーぷる仙台」は、仙台駅前から出ている市内中心部の観光スポットを循環する観光バスです。市内主要観光地を効率よく回ることができるので、観光名所を気軽に巡るのに最適です。車両は路線バスとは異なるレトロな路面電車風のデザインが人気。全車両、車いすでの乗車が可能です。
緑の並木道や景観が美しい広瀬川などを車窓で楽しみながら、「仙台城跡」で下車。伊達政宗公の騎馬像を目指します。
仙台城跡に立つ「伊達政宗公騎馬像」は、仙台のシンボルであり、歴史的な象徴です。そして、その威厳と豪華さで、多くの観光客を魅了し続けています。皆さんに愛される「伊達政宗公騎馬像」ですが、2022年3月16日に発生した福島県沖を震源とする地震によって被害を受け、東京で修復作業を受けました。そして約1年後、青葉山公園本丸広場に戻ってきました。「るーぷる仙台」のバス停から、伊達政宗公騎馬像まではフラットな道が整備されており、車いすでの移動もスムーズです。騎馬像の前に立ち、政宗公の見つめる方向を眺めれば、仙台市街を一望することができます。
再び「るーぷる仙台」に乗車、JR仙台駅に戻ります。駅ビル「エスパル仙台」の地下1階は、仙台・東北のお土産品をはじめ、東北の味や食文化が楽しめるショップやレストランがずらり。ここで、お土産を探しながら、気になるカフェやレストランに入って、地元ならではの美味を味わうのも旅の醍醐味です。エレベーターはもちろん、多機能トイレも設置されているので、お土産選びも安心してじっくり楽しめます。通路も広々としています。
旅行を計画するときに大切にしたいのは、誰と(あるいは1人で)、いつ、どこに行き、何をするのかということ。それが決まったら、目的地での行動や、やりたいことが体験できるのかどうかを下調べしましょう。小さいお子さんやシニア、車いすユーザーも、安全に過ごすことができる場所なのか、エレベーターや多機能トイレがどこに設置されているのかといった情報収集が、楽しい旅のカギになりそうです。
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